訪朝日記 「私の出会った朝鮮の人々」 伊関美香子

 今回の訪朝で、私が最も関心を持ったことは、朝鮮の人々がどのように感じながら、どんな生活を送っているかということです。

一番最初に訪れた万景台(マンギョンデ)の金日成主席の生家では、全国から人々がお参りに来ているのを目の当たりにしました。
聞くと、金日成主席の誕生日が4月15日なので、4月は特に多いとのことでした。
その日は、何十人もの団体が来たかと思うと、また次には100人以上の団体が来ていました。
しかも、男性はスーツ、女性はチマチョゴリときちんと正装していて金日成主席に対する朝鮮人民の敬愛の念の深さを感じました。
また、ガイドの女性は、今回の南北首脳会談への思いを熱く語られ、うれしさや金正恩委員長の素晴らしさを感じ、誇らしい気持ちでいっぱいだとおっしゃっていました。
建国の父である金日成主席や、金正日総書記、金正恩委員長に対する朝鮮人民の深い尊敬の念を強く感じ、今の日本の現状を考えると、羨ましくもありました。

次の日には、私も見てみたいと思っていた平壌郊外にある将泉(チャンチョン)野菜専門協同農場に行きました。
ここは、21世紀にふさわしいモデル単位として作られたそうで、600棟のビニールハウス、422世帯の住民の太陽光パネルのついた住居、託児所、幼稚園、学校、文化会館などがあり、一種のコミュニティを形成していると思いました。
トマトやきゅうりを有機農法で栽培していて、自分の生産計画を超えてできた野菜は、市場で売ることができるそうです。
こうした共同農場のやり方は、素晴らしいなと感じました。

そして、私たちは、図々しくも一軒のお宅を訪問させていただきました。
その家のご主人は機械作業班に属するトラクターの修理工で、奥さんは農作業をしているということでした。
今回の南北首脳会談について聞かれると、金正恩委員長が38度線を越えた時は、感激したとおっしゃっていました。
また、日本について聞かれると、「朝鮮を植民地化し、虐殺、略奪したことは許せない。でも、日本人民が悪いのではなく、日本政府が悪い。」と語られました。私はそれを聞いて、内心ほっとしました。
それと同時に日本政府の朝鮮に対する不誠実で敵対的な姿勢、朝鮮に対する日本のひどい報道を考えると。
本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
私は、朝鮮を訪問した人間として、本当の朝鮮の姿と朝鮮の人々の思いを、日本人に広く伝えて行かなければならないと強く感じました。

5月1日は、メーデーで平壌市はお祝いムードに包まれていました。
いたるところで踊りを踊ったり、公園で焼肉を食べたり。
私たちが訪れたモランボン公園では、大勢の市民が訪れていて、やっぱりみんな焼肉を焼いて食べていました。
古賀さんがさっそくアコーディオンで朝鮮の音楽を奏で、井上さんが太鼓をたたいて歩いていると、びっくりする人々、踊りを踊り出す人、手拍子をしてくれる人、歌を歌ってくれる人、人々の笑顔であふれかえっていました。
音楽の力って本当にすごいなと感動しました。そして、朝鮮の人々の明るい笑顔は私を幸せな気分にしてくれました。

今回の訪朝では、一言では言い表せないほどの感動を覚えました。
朝鮮で出会ったすべての人々の姿が私の胸に焼き付いています。
明るく自信に満ちた朝鮮の人々の姿と朝鮮の人々の思いをできるだけ多くの日本人に伝えなければならないと思います。
そして、日朝国交正常化を日本人の責任として必ず実現しなければならないと決意を新たにしました。